相続対策と相続税対策:その違いを分かりやすく解説👈

1. 相続対策とは?

「相続対策」は、相続財産の多い少ないに関係なく、どの家庭にも必要となる対策です。
文字通り、円滑な相続を実現するための、より包括的かつ根本的な取り組みを指します。その最大の目的は、家族間の争いを防ぎ、被相続人(財産を残す人)の意思を反映した形で財産を承継させることにあります。

  • 主な目的:
    • 円満な承継: 遺産をめぐる親族間の「争族」を未然に防ぐこと
    • 意思の実現: 被相続人の想いや希望を、法的に有効な形で実現すること
  • 具体的な手法(一例):
    • 遺言書の作成: 財産の分け方を明確にし、法定相続分に優先させる最も強力な手段です
    • 生前贈与: 計画的に財産を移転することで、特定の相続人への意向を反映させます
    • 家族信託・民事信託: 財産の管理や承継方法を、遺言書よりも柔軟に、かつ二次相続以降まで指定できる方法です
    • 不動産の共有状態の解消: 共有名義の不動産は将来的な売却や活用でトラブルになりやすいため、生前に解消します

相続対策は、「誰に、何を、どれくらい渡すか」という「分け方」と「残し方」に焦点を当てた対策と言えます。金額の大小に関わらず、すべての家庭で重要になる、心情面や人間関係に関わる対策となります。


2. 相続税対策とは?

一方、「相続税対策」は、相続対策の一部であり、相続税が課税となる可能性のある家庭について必要となる対策となります。
その目的は「税金の負担を最小限に抑えること」に特化しています。税金を減らすことが主なゴールです。

  • 主な目的:
    • 納税額の軽減: 相続税の課税対象となる財産(課税価格)を減らすこと
    • 納税資金の準備: 相続税を支払うための資金を確保すること
  • 具体的な手法(一例):
    • 生前贈与の活用: 暦年贈与や相続時精算課税制度を利用し、課税対象となる財産を減少させます
    • 生命保険の活用: 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を利用します
    • 不動産の活用: 現金や有価証券を評価額の低い不動産(アパートやマンション)に変えることで、評価を下げる対策です
    • 小規模宅地等の特例の適用: 要件を満たすことで、居住用や事業用の土地の評価額を最大80%減額します

相続税対策は、節税に焦点を当てた、主に富裕層や財産が多い家庭にとって重要な対策です。


3. 最も大切なこと:対策の優先順位

相続対策と相続税対策のどちらが重要かといえば、「相続対策」が圧倒的に優先されます。

なぜなら、たとえ相続税をゼロにできたとしても、遺言書がなく、家族間で遺産分割協議が長引き、最終的に家庭裁判所での調停や審判に発展してしまえば、残された家族の精神的な負担や弁護士費用などのコストは、節税額を上回る可能性があるからです。

争族によるコスト(精神的・時間的・金銭的)は、税金コストよりも遥かに深刻になりがちです。


💡 まとめ

項目相続対策相続税対策
主な目的争い防止円滑な財産承継納税額の軽減納税資金の確保
対策の焦点「分け方」と「残し方」「減らし方」と「払い方」
誰に必要かすべての家庭主に相続税の課税対象となる家庭
最優先事項円満な承継のための遺言書等節税効果の高い手法の利用

相続対策は、家族の未来を守るためのものです。
相続税対策は、その経済的な側面を支援するためのものです。
まずは遺言書などで「分け方」を確定させた上で、「税金」を意識した対策へと進めることが、理想的な対策の進め方となります。

失敗のない効果的な節税対策を行うには、ぜひ相続専門の柴山淳子税理士事務所にご相談ください。


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